(1)特定事業用資産(注1)を有していた個人で、その特定事業用資産を有していた者が、お亡くなりになる直前にその特定事業用資産を使用していた事業を行っていた者である場合は、そのお亡くなりになった日の属する年、その前年およびその前々年の青色申告による確定申告書を提出している者、
(2)または、上記(1)に該当する特定事業用資産を有していた個人がお亡くなりになる直前にその者とお金をともに出しながら生活していた親族であり、上記(1)のお亡くなりになった日後にお亡くなりになった個人から
(3)相続または遺贈によりその事業の特定事業用資産のすべての取得を2019(平成31)年1月1日から2028(令和10)年12月31日までにした特例事業相続人等(注2)が、その相続の相続税の申告書の提出により納付すべき相続税の額のうち、納税猶予分の相続税額については、その申告書の提出期限までに担保を提供した場合に限り、その特例事業相続人等がお亡くなりになる日までその納税が猶予されます。
(4)上記の相続税の猶予を受ける特例事業相続人等が、次の①から③のいずれかに該当することとなった場合には、その猶予された相続税は免除されます。
①その特例事業相続人等がお亡くなりになったとき
②特定申告期限の翌日から5年を経過する日後にその特例事業相続人等が上記の特例事業用資産のすべてにつき個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予および免除に規定されている贈与をした場合
③その特例事業相続人等がその有するその特例事業用資産の事業を省令で定めるやむを得ない理由によって継続することができなくなった場合
(注1)特定事業用資産とは、お亡くなりになった個人の事業の用に供されていた次の資産の区分に応じ、それぞれ次のもの。このお亡くなりになった個人には、そのお亡くなりになった個人と生活費をともにしていた配偶者その他の親族で政令で定める者を含みます。また、次の資産は、そのお亡くなりになった個人がお亡くなりになった日の属する年の前年分の事業所得の青色申告書の貸借対照表に計上されているものに限ります。
①宅地または借地権 400㎡以下の部分。ただし、小規模宅地等の土地の減額のうち特定同族会社事業用宅地等を選択している面積を控除し、貸付事業用宅地等を選択している面積に2を乗じて計算した面積を控除します。
②建物(棚卸資産でないもので、事業の用に供されていた部分)800㎡以下の部分
③上記②の建物以外の減価償却資産 減価償却費として耐用年数の期間に経費とされる償却資産、自動車、無形固定資産、牛馬などの生物
(注2)特例事業相続人等とは、被相続人から相続または遺贈により特定事業用資産の取得をした個人で、次のすべてを満たす者です。
①常時使用する従業員の数が300人以下(卸売業またはサービス業は100人以下、小売業は50人以下、ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除きます。)は900人以下、ソフトウェア業または情報処理サービス業は300人以下、旅館業は200人以下)の個人であって、中小企業のおける経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定を受けていること
②その個人が、その相続の開始の直前にその特定事業用資産の事業に従事していたこと。この事業には、特定事業用資産の事業と同種または類似の事業の業務を含みます。この業務には、その特定事業用資産の事業に必要な知識および技能を習得するための高等学校、大学、高等専門学校その他の学校教育法第1条に規定する教育機関における修学を含みます。
③その個人が、その相続の開始の時からその相続を知った時後10か月までの間にその特定事業用資産の事業を引き継ぎ、その10か月まで引き続きその特定事業用資産のすべてを有し、かつ自己の事業のように供していること。
④その個人が、上記③の10か月後にその特定事業用資産の事業について開業の届出書を提出していること、および青色申告の承認を受けていること、またはその承認を受ける見込みであること。
⑤その個人のその特定事業用資産の事業が、その相続の開始の時に資産保有型事業、資産運用型事業および性風俗関連特殊営業のいずれにも該当しないこと。
⑥その個人の被相続人から相続または遺贈により財産を取得した者が、特定事業用宅地等について小規模宅地等の減額の適用を受けていないこと。
⑦その個人が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則第17条第1項の確認を受けたものであること。この確認は、この施行規則第17条第1項第3号によるものに限り、変更の確認を受けたときはその変更後のものとします。